スイス山里COSMOSNOMADO

アルプスの山を眺め空を見上げながら心に映る風景を綴ります

12月の星空に思うこと

冬の星座といえば、何と言ってもオリオンだ。オリオン座は、満天の星空でもすぐに見つかる。オリオンの左肩から線を伸ばしていくと、アルデバランがある。明るい星なので、いったん見つかると、目を離してもう一度見上げてもすぐに見つけられる。アルデバランがわかれば、その先にぼんやりとした昴、つまりプレアデス星団も見えてくる。今の時期は夜も深まると、南東の空高く冬の大三角が輝く。オリオン座のベテルギウス、こいぬ座のプロキオン、そしておおいぬ座のシリウスだ。全天21の一等星の中でも一番明るいシリウスは、冬の夜空の中で凛として美しい。早い時間だと、シリウスはまだ山の陰に隠れてここからは見えない。それで夜も更けて一層冷え冷えと凍てつく中、ダウンコートを着込んでから庭に出てしばらく空を見上げている。

最近、スマートフォンに星のガイドアプリを入れた。それ以来、昼間の星を探すのも楽しみになっている。昼間でも、太陽の光で目視できないだけで、頭上には星があるわけだから。スマートフォンをかざすと、今朝は木立の向こうに、こと座のベガと白鳥座のデネブが現れた。夏の夜空では、わし座のアルタイルと共に夏の大三角を形づくっている星たちだ。それにしても、宇宙にはなんと沢山の星があることだろう。私たちの敬愛する「お天道さま」太陽は、天の川銀河の中の数多ある恒星の一つで、母なる地球は太陽系の第三惑星。太陽系は、中心からかなり離れたところにあって、この銀河の中を約2億5千万年かけて周っているという。そして、天の川銀河もこの大宇宙に数多ある銀河の中の一つにすぎない。太陽系ができて46億年、地球ができてからはおよそ45億年?そこに生命が誕生したのは、40億年ほど前のことだそうだ。そういうスケールで見れば、人類の誕生はついついこの間のこと。宇宙のちっぽけな砂粒のような辺境での小さな出来事だ。空を見上げながら意識を宇宙に向けてから、今いる時空に戻ってくる。そして、この地球で現在進行中の、私たちにとって大きな事柄の数々を思う。現在、人類が直面している生存に関わる様々な問題、例えば気候変動のこと、コロナウイルスのこと、世界中の紛争のこと、などなど。この地上で人間として暮らしている我々には、生き残るために解決しなければならない重要な課題の数々だ。人々は、自分の人生の夢の実現や幸せを求める。でも、世界が繋がっている以上、これらの問題への解決の道を見つけられなければ、日常の小さな幸せさえなくなってしまうだろう。最近話題のユヴァル・ノア・ハラリ氏の「サピエンス全史」は面白かった。人類の歴史を文明の発生から述べるのではなく、そのずっと以前から書き起こして考察するのだ。過去を俯瞰しながら現在と未来への見通しを述べている。我々サピエンスという種が己を知ることの大切さが求められる。

ところで、12月21日だったか22日だったか、木星と土星が大きく接近するそうだ。「お天気お姉さん」によると、ちょうどクリスマスの星のように見えるという。空を見上げるのを楽しみにしている。お天気が良ければいいのだが。

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