スイス山里COSMOSNOMADO

アルプスの山を眺め空を見上げながら心に映る風景を綴ります

iPad

お題「#買って良かった2020

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この春に念願の新しいアイパッドを買った。思い切らせたのは、縦書き機能の誘惑。私の初めてのコンピューターは、Windows XP搭載のものだったが、10年ほど前に壊れてしまい、その時にマックブックに買い換えた。白い陶器のようなノートブックで、もう店頭で見ることはない。今は全てシルバーの薄型になっているから。少々重たいが、その優雅な姿から、プリンセスと呼んで愛用していた。一度画面がダメになってしまったけれど、その白い美しさが気に入っているので、買い換えずに修理に出してずっと使い続けている。10年前にマックに切り替えても、慣れがあって、ワープロはマイクロソフトのアップル対応のワードを使っていた。ただ、難点はこちらで買ったものなので縦書きができないこと。元々入っているマックのワープロアプリのページスには、もちろん縦書き機能はなかった。ところが、2019年になんとそのページスに縦書き機能が加わったと聞いた。だが、なにせ我がプリンセスは少々お年を召しているので、新機能がインストールできない。その時、耳寄りな情報をキャッチ、新しいアイパッドは縦書きができるというのだ。そこで、思い切って買ったという次第。私にとってこのアイパッドもう一つのヒットは、作業をしながら、家の中のどこででもユーテューブが見られるということ。台所だったり居間だったりで、ながら視聴をしたり、ソファに座ってゆっくり見たり。スマートフォンは携帯に便利ではあるけれど、若くない目には画面が小さすぎて見難いし疲れる。その点、程よい大きさと携帯性を兼ね揃えたこのアイパッドはちょうどいい。

さて、そんなこんなで、去年はユーテューブ視聴に精が出た。そこで発見したのが、日本の芸人さんの番組。たまたま、「風の谷のナウシカ」関連を探していたら、中田敦彦という人が解説している映像が飛び込んで来た。見ると、ユーテューブ大学と書いてある。この人誰だろう?大学と言うから先生?先生にしてはちょっと型破りだし面白い。調べてみると、オリエンタルラジオという漫才の芸人さんだという。なんでも、ずいぶん前に「武勇伝」という漫才でブレイクしたらしい。日本にずっといる人なら知っているのだろう。いや、こちらの日本人の友人たちも知っていた。興味がある人なら、今の時代は日本にいなくても情報を取りにいけるわけだし。子供時代は、父がよく漫談を聴いていたので、それなりに漫才師も知っていたし、長じてからもタモリの話芸は面白いと思って楽しんでいた。でも、いつ頃からだろう、叩いたり小突いたり、人を悪し様に嘲って笑いを取る芸人たちが台頭してきて、お笑いの主流を占めるようになってからは見なくなった。端的に言って、芸がなくて面白くないのだ。そして、本来は人を楽しませるのが使命であるはずなのに、俺様感が鼻につく人が偉そうにするようになってからは、笑う門には福来たる、ストレス解消のご利益がなくなってしまった。それで、遠ざかった。ところが、アイパッドのユーテューブ漫遊でのこの発見。アルゴリズムで、次々に関連のお勧め映像が出てくる。それで、全く知らなかった芸人さんたちにも辿り着くことになる。そしたら、ハートを持った芸人さんたちも若い世代にはいるのだということを知った。中田敦彦という人の稀有なところは、あれだけ自分をアピールしながらも、俺様感がないところ。たぶん、自己主張だけじゃなく、根底に他者へのリスペクトもあるのだろう、というか、自分だけじゃなく人間が好きなのだろう。みんなに楽しんでもらうのが大きな喜び、というようなことを言っていた。日本のエンターテイメント業界に新風を吹き込む芸人さんになるのかもしれない、などと今までの経緯を全く知らないながら思ったことである。2020年はコロナの年だった。その影響は各方面に及んでいる。たとえば、テレビの仕事が不安定になった芸能人たちが、ユーテューブに活躍の場を求めて参入してきているという。どうやら2020年は、この動画投稿プラットフォームにも変化の風が吹き始めた年なのらしい。ちょうどそんな時に新しいアイパッドを買ったというわけか。

ということで、私の買ってよかった2020年は、アイパッド。おっと、元々の動機だった縦書きソフトはまだほとんど使ってなかった。2021年は、物語を書くときなどこちらも大いに活用してみよう。