スイス山里COSMOSNOMADO

アルプスの山を眺め空を見上げながら心に映る風景を綴ります

スイスのチョコレート

今週のお題「チョコレート」

チョコレートと言えば、何といってもスイス。「スイスチョコレートの美味しさは、他の追随を許さない、山でいえば世界最高峰エベレストのようなもの」とは、もちろん、私に言わせればという個人的見解ではあるけれど。スイスだから、山に例えればマッターホルン?そのスイスチョコレートの中でも、老舗のリンツ&シュプルングリの味は最高だ。これもまた、トイシャーのシャンパントリュフの味は堪らない、レーデルアッハの割れチョコはユニーク、いや、スーパーマーケットチェーンのミグロブランドチョコ、フレイは安いのに美味しい、などなど様々な見解ありだろう。いや、はっきり言って、みな美味しい。チューリッヒの目抜き通り、バーンホーフ通りには、シュプルングリ、トイシャー、レーデルアッハが立派な店を構えている。一番古い老舗はシュプルングリで、いつも観光客で賑わっていた。いた、というのは、今はもちろんコロナの非常時だから、観光客は少ないだろうと思うし、私自身長いことチューリッヒには出かけていないので。さて、シャンパントリュフに限れば、シュプルングリとトイシャーは甲乙つけがたい感あり。あの、口に入れると蕩けるチョコとシャンパンのハーモニーが堪らない。

里帰りには、よくチョコレートをお土産に持って行った。家族に、友達に、会う予定の人を数えて、たいていはトランクの半分を占めるくらいたくさん。本当は、もっと軽いお土産が理想的なのだが、やはり皆スイスのチョコレートを喜んでくれるし、家族親戚からのリクエストもある。それにしても、航空券が今の3倍くらいした時代、里帰りは、スイスで暮らす日本人にとっては一大イベントだった。今でこそ、何でも日本で手に入る時代になったが、その頃はまだ「舶来品」などという言葉もあったっけ。祖母がいたせいか、少なくとも、私には聞き慣れた言葉だった。こちらに住む日本人の間では、「ねえねえ、今度日本に帰るんだけど、何をお土産に持っていったらいいかなあ」などと、それぞれお知恵拝借だった。チョコレートの他にも、日本にはなくて珍しいものを探したものだ。

そして、時は流れた。日本がバブルに沸いた頃から「舶来品」などという言葉は完全に消え失せ、それまで日本にはなかったヨーロッパの品物も普通に見かけるようになった。町のスーパーでスイスのチーズをいろいろ売っているのを発見した時には、かなり驚いたものだ。昔は、チーズといえばプロセスチーズしかなかったから。デパートの地下食料品売り場には、世界中の美味しそうな物が溢れていた。いや、今もそうだろう。日本のデパ地下を巡るのは面白い。でも、同時に一抹の不安も感じる。日本は、食料品に関しては輸入国だ。食料自給率も低い。万一、非常事態になって一切の輸入が途絶えたらと思うと心配になる。やはり、地味でも食料は自前調達が一番だ。これからは益々、他国を頼らない食料生産が必要になってくるだろう。人は、工業製品やITだけでは生きていけないのだから。

さて、バレンタインにもらったシュプルングリのトリュフがある。ちょうどお茶の時間だ。これからいただくとしよう。

 

f:id:cosmosnomado:20210217195035j:plain