スイス山里COSMOSNOMADO

アルプスの山を眺め空を見上げながら心に映る風景を綴ります

電気炊飯器

今週のお題「マイベスト家電」

長年愛用していた電気炊飯器が壊れてしまった。30数年前帰省した時に、日本からエッコラサと担いできたものだ。それ以来ずっとよく働いてくれていた。それが、ある日突然スイッチが入らなくなってしまった。こんなに唐突に寿命が尽きるなんて信じられず、何回も試してみる。だが、にっちもさっちもいかない。

その日は、故あってどうしてもご飯を炊く必要があった。さて、どうしたものか。もちろん、炊飯器に頼らずに鍋で炊くしかない。昔々、こちらに来たばかりの頃は電気炊飯器がなかったので、自力で炊いた経験はある。だが、ガスなどの直火ではなくて電気プレートなので、日本での炊き方とは要領が違った。初めて試した時に頭に浮かんだ言葉が「はじめトロトロなかパッパ、赤子が泣いても蓋取るな」だった。けれども、電気ではそうはいかない。初めに強く加熱しなければ、プレートはいつまでたっても熱くならない。だから、あの炊き方呪文は忘れて、まずは一番強くして一旦煮立て、それから電気を弱くしてみた。赤子が泣いても蓋取るなというから、蓋は取らずに様子見ができるように、ガラスの蓋がある鍋を使う。昔の成功体験を思い出して、とにかく炊いてみた。なかなかの出来ではあった。

だが、電気炊飯器の便利さを知ってしまったら、なしではいられない。チューリッヒの韓国と日本の食材店にいくつか置いてあったのを思い出して、見に行ってみた。韓国製の他に、タイガーと象印があった。しかし、だ。日本製は値段がかなり高い。型は古いのに、である。ずいぶん迷ったが、やはり高すぎる。それで、インターネットで色々と探してみた。すると、こちらの製品がいろいろある。昔は考えられなかったことだ。米を炊くのは、イタリア料理のリゾットくらいで、柔らかい白米を食する文化ではなかったからだ。SUSHIブームの影響や否や。とにかく、値段が食料品店の店頭にあった日本製よりずっと安い。

ちょうど、その週末に来客の予定があって、和食を作るつもりだったのでさっそく買いに走った。街中の大手家電品店である。オンラインで注文することもできるのだが、見てみないことにはわからないから。私が長年愛用していた炊飯器には敵わないが、まあ外国で買う炊飯器、妥協が必要。値段の割にはなかなかの品物だ。即決即断で購入した。

今のところは満足して使っている。ただ、水加減が今ひとつ上手くいかない。今までの炊飯器とはちょっと勝手が違う。まだお互いに馴染んでいないので、少しづつ知り合っていこうと思っている。