スイス山里COSMOSNOMADO

アルプスの山を眺め空を見上げながら心に映る風景を綴ります

いいこと探し

今週のお題「最近あった3つのいいこと」

コロナ、戦争、災害、エネルギー問題、インフレなどなど、毎日のニュースは「いいこと」の真逆ばかり。でも、そんな中、少しでも意識して身の回りの「いいこと」を探してみるのは精神衛生上いいことかもしれない。

そもそも、こうして無事に暮らしていること自体がありがたくていいことだ。でも、このお題で聞かれているのは、最近あった何かの出来事ということみたい。

三つということだが、一つ目は何だろう。スイス人のお友だちと素敵なコンサートに行ったことかな。チベット人の女性歌手Dechenさんのコンサートだった。彼女は子供の時に家族とスイスに亡命してきて、こちらで育った人である。ずいぶん前から、チベットのマントラを歌うコンサートを続けてきたらしい。スイス人のソプラノ歌手とティナ•ターナーと一緒にCDを出したこともある。一緒に行った友だちの知り合いなのでよく噂は聞いていたし、ご本人とも言葉を交わしたことはあるが、コンサートは初めてだった。彼女のレパートリーもどんどん広がって、このコンサートは神話の歌語りだった。ピアノやフルートやギター奏者たちとの共演で盛り上がり、アンコールでは聴衆も一緒に歌の輪に加わる。音楽の人々を結びつける力を見た思いだった。コンサートの後はお友だちとワインを飲みながら久しぶりのお喋り。三人だったが、そのうちの一人とのリアル顔合わせは本当に久々だったので楽しかった。

あとの二つは、私にあったいいことではないが、ポジティブなことを見たとして「いいこと」に入れようかと思う。

つい数日前のウォーキングでの出来事。ウォーキンググループには、50代から80代の女性たちが参加している。なんと90代の人も一人いる。週一だが、毎回参加するかは自由で、一緒に歩くグループも選べる。最速組、中速組、ゆっくり組とバリエーションがあって、その時の事情でどのグループと歩くかも自由だ。歩いているうちに速度が違ってくれば、グループ内でも少し分かれてくることもある。その日私は中速組にいたが、グループの一人が森を抜ける砂利の坂道で足を滑らせて転んだ。彼女は現在83歳で、70代の頃は最速組で歩いていたが、病気をしてから中速組になった。病気のせいか目がよく見えないらしいが、ウォーキングポールを突きながらサッサと歩いている。さて、転んだ時の仲間の対応ぶりがよかった。傷口を見て、これはチリ紙などで血を拭かない方がいいと判断、擦りむいてぶら下がった皮膚は、ちょうどスイスアーミーナイフを持っていた仲間が切る。念のために彼女のホームドクターに見てもらった方がいいと、ちょうどご主人が家にいた仲間の一人が、自分の夫に車で来てもらうように電話。印象深かったのは、近くで作業していた若い労働者が、私たちの様子を見て「何か手伝いましょうか」と聞きに来てくれたこと。私はこちらで、路上などで誰かが倒れた時など見知らぬ人が助けを申し出るのを何回か見た。これが、最近遭遇した二つ目のいいことだ。

三つ目は、今回の選挙で遠くから応援していた人が当選したことかな。最後までハラハラしたが、ついに通った。参院選の投票率は52パーセントだったという。約半分は棄権したということで、全くもって不思議だ。この人たちは、自分の暮らす社会、ひいては自分の行く末に関心がないのだろうか。このことについては、今日は多くを語るまい。とにかく、当選した私が応援している議員さんの頑張りに期待したい。

ということで、最近あった三つのいいことを書いてみた。