スイス山里COSMOSNOMADO

アルプスの山を眺め空を見上げながら心に映る風景を綴ります

映画「ビッグ・ウェンズデー」

#夏に見たい映画・ドラマ・アニメ・バラエティ

夏に見たい映画と聞いて、まず真っ先に思い浮かんだのが、「ビッグ・ウェンズデー」である。1978年のアメリカ映画で、サーファーたちの物語だ。カルフォルニアの海辺の町に住むサーファーの若者3人が主人公。彼らは、いつか水曜日にやって来るという世界最大の「ビッグ・ウェンズデー」という波に乗ることを夢見ていた。この映画は、ベトナム戦争を背景にして、当時のアメリカの若者たちのひとつの青春を描いている。

日本にいた若かりし頃、封切りの映画館で観たはずだが、サーフィンとは縁もゆかりもない自分が、どうして映画館に足を運んだのかはわからない。もしかしたら、ヒットしていたのかもしれない。今となっては、あらすじさえ確かではないし、どういう状況で誰と観に行ったのかも覚えていない。ただ、この映画の名前を聞くと、カルフォルニアの青空と広い海、開放的な夏の雰囲気が蘇ってくる。その当時の私は閉塞感の中にいたようだから、よけいにあの大きな海と波に惹かれたのかもしれない。

記憶が曖昧なのは、40数年前の映画だからなのか。だが、作品によっては古くても鮮明に覚えているものもある。たとえば、「アラビアのロレンス」や「ローマの休日」「カサブランカ」など。もしかしたら、名作と謳われて何回かリバイバルされたからかもしれない。当然「ローマの休日」や「カサブランカ」は、封切り当時にはまだ生まれていなかったし、「アラビアのロレンス」の時は子供だったから、リバイバルとテレビ名作劇場などで観ているわけだ。思えば、「ビッグ・ウェンズデー」は、あの時以来話題も聞いたことがないし、リバイバル上映はされていないのではないだろうか。

そんなわけで、インターネットで調べてみた。なんと、ユーテューブには予告編とプレビューが上がっていた。それを観て驚いた。全く忘れている場面の数々。若者たちのどんちゃん騒ぎ。ベトナム戦争に出征して戻って来た者、帰らなかった者、星条旗に包まれた棺の場面。主役の3人の中の一人、金髪巻き毛の痩身の若者が一番の好みだったのを思い出した。真面目な役柄でもあった。ところで、ボディビルがブームになってから、筋肉ムキムキの男性が女性にモテるようだが、あの映画を見ると男の子たちにはその極端さはなくて、皆程よい筋肉の持ち主だった。物語は1960年代初めから、ベトナム戦争を挟み、1970年代半ばにやってきたビッグ・ウェンズデーの大波乗りがクライマックスになっている。ベトナム戦争を抜きにして当時のアメリカは語れないが、あの映画の骨格となっているのは3人の友情だ。青春サーフィン映画である。サーフィンはしなかったが、だんだんと自分が過ごした青春時代の人間関係や、その時の感情も思い出してきた。

それにしても、あの波乗りのシーンはすごい。機会があったらもう一度観てみたい。ネット上のレンタルビデオを探してみよう。