スイス山里COSMOSNOMADO

アルプスの山を眺め空を見上げながら心に映る風景を綴ります

恭賀新年2023

明けましておめでとうございます。

初詣、初日の出、初売り、初釜、などなど、お正月を迎えて「初」のつく事柄はたくさんある。三箇日も過ぎて、日本でもそろそろいろいろと動き出していることだろう。こちらは、やはりクリスマスが最大行事で、その後31日のシルベスターまでなんとなく祝祭気分が続いて新年を迎え、だいたい3日から日常に戻る感じ。

さて、初掃除をした。その時しみじみ思ったのが、こうして自分で掃除ができるなんて、ありがたいことだなあということ。決して軽くはない掃除機をあちこち動かして掃除したり(我が家は掃除ロボットなし)、重い物を下ろしたり上げたり、若い頃は普通だったことが人生の秋も深まってくると、なかなか当たり前ではなくなってくるみたい。そもそも「ありがたい」を漢字で書くと「有難い」で、有ることが当たり前ではないということ。そう考えると、世界は「有難い」ことに満ちている。

夏から秋にかけてベランダに置いていたアフリカ鳳仙花は、日差しが必要な外で咲く花で、冬になると枯れてしまう一年草。でも、晩秋でもまだ花をつけていたので、室内に入れて世話をしていた。すると、新しく可愛い花を咲かせてくれた。私は「緑の親指」を持っている人ではないと思っているが、よくぞ咲いてくれたものだ。それも、私にとっては有難い。

それから、ニューイヤーコンサートに行ってきた。しかも、割引のチケットが手に入って2回も。ひとつは、私の好きなスメタナ、ラフマニノフ、ドボルザークで、ラフマニノフはSergey Taninという若手ピアニストがピアノコンチェルトの3番を華麗に演奏、本当は2番が好きなのだが、3番も楽しませてもらった。もう一つは、ブラームス、ブルッフ、フランツ・レハール。ハンガリアン舞曲は大好きな曲、Itamar Zormanというテルアビブ出身のバイオリニストが素晴らしかった。アンコールに応えてオーケストラと一曲、ソロでも一曲弾いてくれた。バイオリンの音色に満たされた空間。それは語るように心に真っ直ぐ入ってきて胸に染みる。美しい時間をいただいた、ありがとう。

今年は、日常のいろいろなことを見つめ直し、大切に味わって過ごしていきたい。

この、スイスの一隅からひっそりと綴るエッセイブログをお読みいただいている皆さま、ありがとうございます。世界中が先行き不透明な時代ですが、2023年の年頭に当たり、皆さまのご健康とお幸せをお祈りいたします。