スイス山里COSMOSNOMADO

アルプスの山を眺め空を見上げながら心に映る風景を綴ります

あるようでない本を読む時間

今週のお題「読みたい本」

読みたい本はいろいろある。何冊かまとめて買ってあるのだが、なかなか読む時間がない。いま手元にある本を並べてみよう。

和田純夫「量子力学の多世界的解釈」、若松英輔「霊性の哲学」、南直哉「超越と実存」、渡辺京一「逝きし世の面影」、和田秀樹「70歳が老化の分かれ道」、高水裕一「宇宙人と出会う前に読む本」、藤岡換太郎「三つの石で地球がわかる」小林武彦「生物はなぜ死ぬのか」など。仏教と量子力学の関連にも興味を持っているので、その方面の本も探してみたい。また、仏教の阿頼耶識について書いてある本も読みたい。「大乗起信論」についても読みたいのだが、私の読書の条件は電子書籍になっていることである。昔読んだ河合隼雄の「ユング心理学と仏教」の中に阿頼耶識について書かれた部分があって「大乗起信論」にも触れられていた。河合氏の本は入門書として読みやすい。ちなみに、これは昔のことだから紙の本で、ひとから借りたものである。その読後感、とくに阿頼耶識の部分を自分なりに図解して書いているのが残っているので、それを見れば内容を思い出すが、できれば本自体をもう一度読み返してみたいものだ。ところで、仏教の経典といえば「般若心経」がポピュラーである。これも大変面白い本だと言える。とくに、色即是空・空即是色の解釈はさまざまだが、私としては、色を物質、空をエネルギーと理解する解釈がしっくりくる。また、この経典は、量子力学的世界観と親和性があるように思う。量子力学は、私には難しくてストンと頭には入らないけれど、なんとなくそんな感じがしているというか。一方、和田秀樹氏の本は、限りある人間の肉体と心の管理の仕方を教えてくれる本だろう。この世に生物として生を受けたものは、いつかは老いてやがては死んでいくのだから。今一番考えているのは、この生の先にあるものについてだ。それには、仏教と量子力学的思考法が鍵になるような気がしている。

今のところ、小説は買っていない。最近は、平野啓一郎の作品をけっこう読んでいる。彼の小説は、個人的物語に社会的視点とメタ認知的視点が並存していて、広がりと深みを感じる。芥川賞作家でもある。私は、私小説的なものはあまり好まない。芥川賞作家でも、最近の何人かの女性作家の作品は、ちょっと世界が窮屈だ。あくまでも個人の好みだが。

いずれにしても、読書には時間が要る。昔はもっと本を読む時間があったような気がする。今は、インターネットにだいぶ時間を取られている。雑用に追われているうちにすぐに時間が経ってしまったり。それに、夏はやはり外に出る機会が増える。心して時間を作らないと、なかなか本が読めないなあとぼやいてみる。