今週のお題「勉強していること、したいこと」
学校時代、国語や社会が好きで成績も良かったが、理数系は苦手だった。でも、それは何ともったいないことだったか。今、もう一度中学・高校生に戻れたなら、今度は力を入れて数学と理科の勉強をするだろう。ただ、正直言って、理数系では先生に恵まれなかったと思う。物理も数学も、本来なら世界を解き明かそうとする面白い学問なのに、先生の手にかかると、たちまち覚えるだけの退屈なものに変身してしまう。もちろん、規則を覚えなければ始まらないが、その奥にある「なぜ」の物語を教えてくれる先生に出会いたかった。
高校の地学の先生が、教科書を読み上げるだけの、あまりにも単調な教え方だったので、クラス全体で抗議したことがあった。先生も気の毒だったが、人を教えるには才能がいるのかもしれない。その後、授業がどう変わったのかはもう覚えていない。一般に、私が学生だった頃は、権威主義的な先生が多かった。教えてやってるんだから、勉強しろとでもいうような。ところが今は、YouTubeの講演会などの様子を見ていると、丁寧で親切な先生が多いように見受けられる。それで、大学もそうなのではないかと想像する。ただ、中学校・高校の先生がどうなのかはわからない。いずれにしても、先生には「学ぶって面白い」の精神で教えてもらいたいものだ。そういう意味では、日本の先生にも、スイスのように夏休みや冬休みにはたっぷり休みを取っていただきたい。教務に追われるのではなく、教材のためにアイデアを練る時間を与えてあげたい。だから、学期休みには登校しないで、旅をしたり、本を読んだり、自分の興味あるものの研究や見聞を広げていただきたい。
今の時代は、私が若かった頃に比べて、学ぶ気があれば知識を得る機会が多い。何と言っても、インターネットの恩恵は大きい。百科事典が手元の小さな機器の中にあるようなものだ。また、YouTubeなどで、手軽に専門家の講演を聞くこともできるし、遠く離れた場所にいても、zoomでセミナーなどに参加することもできる。また、本も電子書籍で我慢すれば、手に入れやすくなった。私などは、本来は紙の本の方が好きなのだが、海外に住んでいるので、それは難しい。日本にいれば時々本屋さんを覗いて、本を手に取って選んだことだろう。それにしても、私が若い頃は本の文字が比較的小さくて、印刷の文字のフォントも読みにくかった。だから、本はいかにも難しい感じがしたものだ。もちろん、それしか知らなかったから、そんなものだと思っていたわけだが。
歳を重ねても、学ぶことはたくさんある。とくに、物理や数学をやり直したい。わからないながらも科学系が好きで、ブルーバックスの本はけっこうたくさん本棚に並んでいる。物理学は世界の不思議を説明したい学問だと思う。物理学には、閃きが大事なのだという。もしかしたら、世界はこうなっているのではないか、と閃いて、こう説明すれば理屈が通る、と考える。だが、科学には証明が必要である。それで、思いつきを裏付ける証明を探すために実験をする。私たちが、この宇宙でわかっていることなんて、ほんの少しに過ぎない。でも、知りたい。だから探求する。学問にはいろいろあるけれど、物理学はこの宇宙の仕組みと、ひいては我々が生きている理由と意味が知りたいのだ。そう考えると、とくに科学を勉強したくなる。いずれにしても、勉強はいくつになってもする価値がある。