スイス山里COSMOSNOMADO

紅葉世代の異文化通信

上半期、お酒の話や世界情勢のこと

今週のお題「上半期ふりかえり2025」

flow

時は流れる。あっという間に7月。もう2025年も半分過ぎたとは。信じられない。ついこの間、年が明けたばかりなのに。この調子では、もうすぐクリスマスが来てしまう!

上半期を振り返って特筆すべきは、個人的なことより、世界のあまりにも急激な変わりようである。とりあえず、両方ともに振り返ってみよう。

今年も公私共々の新年会から始まって、仲間内では新年会を理由にしての飲み会からスタート。1月2月は、新年会だったり知り合いの誕生祝いだったり、何かと飲む機会が多かった。だが、今の世はノンアルコールに向かっているらしい。輸出に回らないほどワインが愛されているスイスでも、消費量が減っているという。たしかに、飲まない方が健康にはいいのかもしれない。だが、お酒を酌み交わすのは人間関係の潤滑油でもある。酒は百薬の長とも言われているし、適量であれば問題はなかろう。何でもそうだが、程々が一番。ところが、これがなかなか難しいものである。美空ひばりの歌に「悲しい酒」というのがあるけれど、悲しい酒はやけ酒になって度を過ごしがちだ。仲間と飲む楽しい酒が一番だが、人生ときには辛いこともある。人は、あの歌のように辛さをいっときでも忘れたくて飲むこともあろう。けれど、ノンアルワインでは酔えない。なかなか悩み深いところではある。世は健康志向だが、たまには少々酔って気を紛らわすのも悪くはないかもしれない。しかし、たまに留めよ、と天から声が聞こえてきそうだ。

高校の同級生たちがスイスに来たことは、上半期の楽しい思い出。今年は日本へ行く予定がないから、みんなが来てくれて会うことができた。それから、我が家は、全員の誕生日が上半期にあって、息子の誕生日は6月である。文化交流団体の総会も6月だし、仲間内のコンサートも6月。だから、6月はけっこう忙しい。息子が成人するまでは、誕生日にはゴットファーザーとゴットマザーの家族を招いてお祝いの会をしていたので、今よりもっと忙しかった。時は流れ、それも今では懐かしい思い出となった。

さて、今年上半期の一番の問題は、世界情勢である。トランプは大統領就任以来、世界をまぜっ返している。世界中がこの人物のご機嫌に振り回されているかの如くだ。すべてがディールなるもので動く人間。朝令暮改もなんのその、自分の利益が第一の人間。こういう人物が大統領になってしまったのだから、目も当てられない状況だ。それにしても、この人物の語彙の乏しさには驚かされる。ビューティフルとグレイトの連発だ。やっとアメリカでも反トランプのデモが起きてきているが、どうなのだろう。後戻りできない独裁体制が敷かれる前に何とかしないと手遅れにならないか。いったい誰がアメリカでこんなことが起こるなんて予想しただろう。アメリカは、民主主義のメッカというイメージでこそ世界に君臨していたのだから。ただし、一応という言葉を付け加える必要はあるけれど。アメリカから民主主義国という形容詞を取ってしまったら何が残るのだろう。米国民は二期目を許すべきではなかった。一期目の時と違って、今回は益々裸の王様のごとく、回りには追従する人間たちしか集まっていない。あの人物の判断一つで、世界を巻き込む戦争さえ起きかねない。そうなると、アメリカを超えて、世界中の人たちが影響を受けるわけだ。まったく迷惑千万な話である。ウクライナやガザの戦争を止めると豪語していたのに、やっていることは正反対だ。また、異常気象の問題が大きくなっている。山火事や山崩れ、豪雨や突風、酷暑などなど。これも、純粋な自然災害というより、環境問題の影響でもあるだろう。こんな時こそ、賢明な世界の指導者が求められるのに、無能な人物が舵取りをしているのは無念の限りである。この期に及んで、化石燃料依存の時代に逆戻りしようとしているのは、時代錯誤も甚だしい。

今年もちょうど真ん中。身の回りの話に戻ろう。後半には、関わっている文化団体で、取り組んでいる企画が二つある。日本映画上映会と、原爆投下80年ということで、被爆2世のお話を聞く懇話会だ。その前に、9月には創立記念祝賀会があって、そこでは会の歩みを語ることになっている。この夏は、その準備に追われそうだ。個人的にも、暖めているものがあるので、実現に向けて少しずつ進んでいきたいと思っている。ふーゆーがーくるまえにー、という歌があったが、紅葉の季節になって、葉が散る前のひと仕事か。健康にも気をつけていかなければ、と思うこの頃である。