スイス山里COSMOSNOMADO

アルプスの山を眺め空を見上げながら心に映る風景を綴ります

今は、もう秋 ...

今週のお題「秋の味覚」

早い、本当に早い。もう中秋になってしまった。今年も3分の2が過ぎ、今は10月である。今年は、私にとってはひとつの節目の年で、その記念に絵の個展を開いた。それが9月の末に終わって後片付けと整理、気がついたらもう10月も一週間が過ぎている。今まで描き溜めた絵のうち、約50点を出展した。展覧会というのは、作品はもちろんのことだが、いろいろなオーガナイズがいる。かなり前から会場を押さえ、展覧会のタイトルを決めてフライヤーやポスターを作る。案内も出さなければならない。最終的な作品を選んでリストを作り、展示の配置を考える。そして、搬入して、作ったプランのもとに絵を並べ、最終的には会場でライティングの様子も見ながら決定する。オープニングの時の飲み物とつまみの用意もある。グループ展には2回ほど参加したことがあるが、個展というのは初めてのことで、家族の協力あっての実現である。おかげさまで、たくさんの方にじっくり観ていただき、また交流もできて嬉しいことだった。描いた者として、絵の前で長く立ち止まって味わってくださる方たちに出会えたのは、ありがたいことである。

そんなこんなで、秋の味覚を味合う余裕もなかったが、これからが、秋の料理の本番である。スイスの秋の食べ物と言ったら、一番に栗を挙げたい。狩猟期が始まって、レストランには、ドイツ語でWildのメニューが出てくる。鹿肉の煮込み料理で、赤キャベツと栗を煮込んだものが付け合わせてある。その栗がまた美味しい。この料理には赤ワインが合うが、この時期、サウザーと呼ばれる、ワインになる前の少し発酵した新鮮な赤葡萄ジュースも美味である。

秋も深まる頃には、街の其処此処に焼き栗屋の屋台が立つ。ちょっと小腹が空いた時など、100グラムくらい買って、ホクホクと歩きながら食べるのが楽しい。寒い日には、栗を入れた小袋があったかくて、手に嬉しい。それから、栗のお菓子の名物と言えば、モンブランだろう。ただ、美味しくはあるのだが、ちょっと重いのがワタシ的には難点。日本のモンブランは小ぶりなのかもしれないが、こちらのケーキは全体的に大ぶりである。ケーキだけではなく、こちらの料理は、日本人にしてみればすべて大盛りだ。ただ、慣れというのはオソロシいもので、もう何十年もこちらで暮らすうちに、その量にすっかり慣れてしまった。以前、日本からのお客様をレストランに案内したことがあるが、その奥様とお連れの女性の少食ぶりには驚いた。半分は残されるので、ワタシも全部平らげるのは憚られてしまって、少し残したものだ。残すのは勿体無いからと言って全部食べていたら、その結果はオソロシや。高級レストランは別だろうが、最近は残りを詰めてくれるレストランもけっこうあるようだ。どうせ捨ててしまうのだから、それはいい考えである。ピザなどは、本当に大きいから。種類によって、値引きして少し小さいピザもあるが、それでもまだ大きい。ただ、こちらではレストランの滞在時間がおおむね長めだ。ワインを飲んで談笑しながら、ゆっくり食事を楽しむのが常である。そうこうしているうちに、お皿は空になるというわけだ。

さて、今年の大きなイベントも終わったことだし、家族や友人たちと大いに秋の味覚を楽しむことにしよう。今年の秋も一度きり。