スイス山里COSMOSNOMADO

アルプスの山を眺め空を見上げながら心に映る風景を綴ります

いま注目のアメリカ大統領選の話題をきっかけに思ったこと

この夏は、選挙の話題に事欠かない。まずは、7月七夕に都知事選挙。そして、アメリカの大統領選挙に関して大きなサプライズニュース。どちらの選挙にも投票はできないけれど、どちらも今後の私たちの行末に大きな影響を与える。東京は日本の首都、そこで誰が知事になるかは日本全体にも関わってくるし、アメリカの政治動向は否が応でも世界に影響を与えることになるので、この世界に暮らす我々にも無関係ではない。

はっきり言って、都知事選の結果は残念だった。50人以上の候補者が立ち、その中で百万以上の票を得たのは現職の小池氏、石丸氏、蓮舫氏の3人。小池氏の選挙のやり方は誠に残念で、正々堂々と討論会をしてほしかった。よほど追求されたくないことがあるのだろう。そして、公務を理由に討論会は避けているのに、その公務を選挙活動に利用しているように見えた。現職で立候補している場合、普通は選挙運動にならないように知事代行を置いて公務を任せるのだという。けれど、小池氏はマスメディアへの露出を狙って、自らが目立つように公務に勤しんでいたように見受けられる。石丸氏は、語る内容より大衆煽動に長けていたような感じだ。あの有名なワンフレーズ政治家を彷彿とさせた。一方、蓮舫氏は王道を行っていたと思う。理念を語り、そのための政策の提案をする。演説も回を重ねるごとにバージョンアップし具体的なものになっていった。彼女の誠実な言葉は人々を魅了し、聞き入る人々の熱気はどんどん高まっていったようだ。ただ一つ残念だったのは、せっかく離党したのに立憲幹部のおじさま方が盛んに演説し、彼女の横に立っていたこと。そして、カメラアングルが素人っぽかったこと。最終日には大物ゲストが来ると言うので楽しみにしていたのだが、なんとそれは野田元総理だったのだ。ガッカリしてしまった。彼は国民から期待された政権交代を短期で終わらせてしまった責任者でもある。増税路線に舵を切って、負けると分かっていながら解散し結局は自民党政権を再誕生させた人である。言ってみれば、希望を感じないのだ。それに、演台に立つ絵柄としても良くなかったと思う。颯爽と演説するフォトジェニックな蓮舫さんの横に憮然としたお顔が大きく写ってしまうと、蓮舫さんのカッコよさに水を差してしまう、と、これはまあ個人的な感想である。落選後の反省会に相手方を支援した連合会長を呼んだのもいただけない。彼女は共産党との協力を非難していたが、全くのお門違いではなかろうか。むしろ、立憲幹部が前に出過ぎたことでフレッシュ感が削がれてしまって、無党派層の票が取れなかったのではないか。表に出るのが蓮舫さん単独か、一緒に出るなら文化芸能関係の有名人だけにして、共産党さんのようにひたすら陰で支えていればよかったものを。そして、落選後の蓮舫叩きは目に余るものがあった。それも政治姿勢ではなく外見や印象のことばかり。公人でなくなった人にこれほど粘着する。これも不思議なことだが、逆に考えれば、彼女の復活を恐れる人間たちがいるということだろう。つまり、この選挙戦を通して蓮舫さんの力を見せつけられたと言うこと。そうでなければ、いろいろな疑念も呈されている現知事の動向に目を光らせ、叩くべき点は叩くものだろうに。不思議な国ニッポンである。

一方、アメリカに目を向ければ、バイデン大統領の大統領候補降板以来、選挙戦の構図がガラッと変わってきた。アメリカのニュースを見ているが、カマラ・ハリス氏の勢いが止まらない。ハリス氏の正統を行く演説の前では、トランプ流の相手を罵倒するだけの演説とも言えない話は、三流コメディアンの幼稚な芸にさえ見えてくる。ハリスさんの演説を聞いていると、蓮舫さんに通じるものがあると感じる。アメリカでは、女性政治家が力強くハッキリと考えを語ることが頼もしいと評価されるのに、日本ではキツイとかコワイとか言われるのは、なんとも不思議なことである。