スイス山里COSMOSNOMADO

アルプスの山を眺め空を見上げながら心に映る風景を綴ります

チーズフォンデュ

今週のお題「紅白鍋合戦2023」

スイスの鍋物と言ったら、それは何を置いてもチーズフォンデュだろう。寒い冬の日に、みんなで熱々のフォンデュ鍋を囲んで食べるのは楽しい。作り方もシンプルだし、お客さんを招く敷居も低くていいものだ。和食でお客さんをすると、いろいろと準備や調理に時間が掛かってしまうから、エイヤっと気合がいるが、これならほとんど手間がいらないので、思いたった時に気軽に招ける。

先日は、友人一家の家でチーズフォンデュをいただいた。11月の村のカブ祭りの後は、そこのお宅でフォンデュの夕食会をするのが恒例になっている。その時々によって、招かれるメンバーは少しずつ違うけれど、息子の代父をお願いした友人はいつも私達に声を掛けてくれる。そこは、村のチーズの専門店でチーズの特別ミックスアレンジをしてもらっている。なかなか濃厚な味だ。何種類も混ぜてあるが、何のチーズだろう。奥さんがニンニクが大好きなので、ニンニクを擦り下ろさずにそのまま鍋に入れてチーズと一緒に煮る。そして、フォンデュフォークで刺してチーズを絡めて掬い取るのだ。これがなかなか美味しい。友人宅では、ピクルスや野菜はない。ひたすらチーズ、チーズ。それに、飲み物として白ワインかキルシュ、あるいはハーブティーが付く。この間のお茶はほんのり甘味があって美味しかった。イタリアンレモンティーで、ミグロなどのスーパーで売っていると教えてもらった。後日、さっそく買いに行って、今はマイブーム真っ最中。ついこの間の、日本人の女子大生が来た時に出したら、今まで飲んだ中で一番美味しいハーブティーと感激していた。

チーズフォンデュは、各家庭で若干チーズの合わせ具合が違うらしい。我が家は、エメンタールチーズとグリュイエールチーズのミックス。まあ、一般的ではある。一度アッペンツェルチーズを試してみたが、ちょっと塩辛かった。茹でたブロッコリーやピクルスなども添えて食する。チーズフォンデュの時に飲むワインは、たいてい白ワインのファンダン。普通フォンデュには白と言われているが、別に赤だって構わない。これは好みの問題だと思っている。現に、夫は白ワインは身体に合わないので、もっぱら赤ワインを飲んでいる。初めて食べた時、水を合わせるのは良くないと聞いた。だからアルコールがダメな人はお茶というわけだ。

ホンデュシノワーズも、人気の鍋だ。日本のしゃぶしゃぶみたいな物である。薄切りの牛肉を専用の長いフォークに刺し絡め、ブイヨンに潜らせて掬い上げて、いろんなソースを付けて食する。クリスマスなど、家族が集まる時に食べる事が多いようである。肉料理でちょっと豪華だが、主婦にはあまり手間が掛からないのが人気なのかもしれない。

スイスに来たら、やはり一度はチーズフォンデュを食べてみたいというのが、ツーリストの思いだろう。だから、本来は冬の風物詩なのだが、チューリッヒのチーズフォンデュのレストランなどには、夏でもお客さんが並んでいる。ラクレットも、クリスマスマーケットの屋台の定番でもあるが、季節を問わず人気の食べ物だ。やはり、何と言ってもチーズはスイス、スイスと言ったらチーズ。チーズ、ヨーグルト、チョコレートはスイスの右に出るものはないかな?とはスイスが第二の故郷になった者の言である。