スイス山里COSMOSNOMADO

アルプスの山を眺め空を見上げながら心に映る風景を綴ります

映画・音楽・芸術

飛行機の中で映画「ナポレオン」を観て思い出した昔のエッセイ「英雄について考えてみる」

バスの中から撮った成田の町 しばらく日本で忙しくしていて、ブログもご無沙汰してしまった。やっと少し書く時間ができたので、帰りの便で観た映画について思いを巡らしてみた。少し前にスイスでも映画「ナポレオン」が公開されていた。ナポレオンには好感を…

シャンソンは人生を語る歌

YouTubeのおかげで、日本シャンソン館というのがあるのを知った。群馬県の渋川市にあるという。今度帰省した際には、ぜひ訪ねてみたい。 私は、シャンソンが好きである。それも、出来れば日本語歌詞の歌を聴きたいし、歌いたい。シャンソンは、詞と語りが命…

宮崎駿「君たちはどう生きるか」映画鑑賞記

期待の宮崎駿アニメ「君たちはどう生きるか」を観てきた。数週間前からチューリッヒでも封切られていたのに、最近気がついた。人があまり入らないと早々と打ち切りになるのだが、まだ続いているということは、それなりに集客があるということだろう。 さて、…

映画 Perfect Days (パーフェクトデイズ)

先週の木曜日から、チューリッヒで「パーフェクトデイズ」が公開されている。封切りの日にさっそく観に行ってきた。マチネだったが、けっこう人が入っていた。 この映画は日本映画ではなくて、ドイツのヴィム・ヴェンダース監督が撮った作品。カンヌ映画祭で…

「ザ・クラウン」や「プレイリスト」を観て湧いた色々な思いについて書いてみる

ネットフリックス「ザ・クラウン」の最終シーズン6の配信が始まった。パートを二つに分けて、11月16日と12月14日に配信。シーズン5からかなり間が開いた感じだ。エリザベス女王の物語は見応えがあった。一本筋の通った人間の生き方。だが、ダイア…

チューリッヒで黒澤明「生きる」を鑑賞

スイス・日本協会という文化交流団体主催の日本映画上映会があった。上映作品は、黒澤明監督の不朽の名作「生きる」。1952年の作品で、志村喬が主演している。雪降る公園で、ひとりブランコに乗りながら「ゴンドラの唄」を歌うシーンは、あまりにも有名…

夢で見た映画女優さんから広がった連想

なんの脈略もないのに、女優の藤村志保さんが夢に出てきた。別に前日に彼女の映画を観たわけでもないし、インターネットで記事を読んだわけでもない。日本にいた頃は、ドラマなどでお見かけして、立ち居振る舞いの上品な美しい人だなと思っていたが、その後…

映画「バービー」を観て

思いがけず「バービー」を観ることになった。思いがけずというのは、こうである。映画「オッペンハイマー」を観に行った時の映画館の予告編のひとつが「バービー」だった。その時は、なんだかキッチュな映画という印象で、観に行こうとは思わなかったから。…

映画「オッペンハイマー」を観て

話題の映画「オッペンハイマー」が上映中である。原爆の父と呼ばれる人物についての映画を観るのは、ちょっと複雑な気持ちがあった。でも、この夏の話題作でもあるし、つい観てみる気になった。チューリッヒに出て行く用事もあったし。 監督が「インターステ…

映画「Plan 75」がスイスでも上映に

スイスでも、映画「Plan 75」が公開された。評判を聞いて観たいと思っていた映画なので、楽しみにしている。早川千絵監督、賠償智恵子主演で、日本の近未来社会での老人と死について描いているという。そこで描かれた日本では、高齢化が大きな問題になってい…

映画「Die Wand 」(壁)

村上春樹氏の新刊が出たという。題名は「街とその不確かな壁」。連想ゲームではないが、その題名に触発されたのか、ふと10年ほど前にチューリッヒの映画館で観たオーストリア/ドイツの映画を思い出した。 原題はDie Wand、日本語では「壁」である。Julian …

続・この春は映画三昧

前回に引き続いて映画感想文を書いてみたい。 あれから、5本ほど観た。ジャンルは様々。だが、2作品は一括りにできるかもしれない。それは、「銀河鉄道999」と「スターウォーズ」(第一回作品)で、いずれも未来の宇宙が舞台になっている。それから、日…

この春は映画三昧

この数週間は映画三昧だった。と言っても、映画館で見たのは一本だけで、あとは飛行機の中、オンラインでのレンタル、ネットフリックスである。 まず、映画館で観たのが、ミシェル・ヨー主演の「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」だ。こ…

Steins;Gate シュタインズ・ゲート

ネットフリックスから、いくつかの番組配信終了のお知らせが来た。そのひとつに、SFアニメシリーズ「シュタインズ・ゲート」があった。このアニメは、クラブハウスの哲学系の部屋で、主催者の方が紹介していたのを聞いて面白そうだと思い、1年くらい前に試…

映画「EN CORPS」を見て思ったこと

先日、タイトルの映画を観た。セドリック・クラビッシュ監督、パリ・オペラ座バレエ団のマリオン・バルボー主演の今年封切られたフランス映画。とても良かった。ごくごく簡単にストーリーを要約すると、クラシックのバレリーナが、足を挫いたことをきっかけ…

映画「サタデーナイトフィーバー」

なんと、封切りから45年経ってから「サタデーナイトフィーバー」を観た。もちろん、この映画が大ヒットしたことは知っているし、日本のディスコブームの火付け役となったことも知っている。だが、観よう観ようと思いながらも、その機会を逃していた。そし…

映画「ビッグ・ウェンズデー」

#夏に見たい映画・ドラマ・アニメ・バラエティ 夏に見たい映画と聞いて、まず真っ先に思い浮かんだのが、「ビッグ・ウェンズデー」である。1978年のアメリカ映画で、サーファーたちの物語だ。カルフォルニアの海辺の町に住むサーファーの若者3人が主人…

喚く人たち

英国王室を描いた「ザ•クラウン」が大評判の頃、Netflixの視聴を始めた。お友だちに「愛の不時着」を勧められたというのもある。彼女たちは、スイス国内の撮影場所巡りをしたくらいなので、熱く語ってくれたのだ。そのあと「ダウントン•アビー」が面白くてハ…

「もののけ姫」

チューリッヒ市立映画館を会場に「もののけ姫」の上映会があった。言わずと知れた宮崎駿監督のアニメーションである。1997年に作られた映画だから、今から25年前の作品になる。当時、少しのタイムラグはあったが、スイスでも公開された。その後ビデオ…

ドラマ「新聞記者」を見て思ったこと

今週のお題「現時点での今年の漢字」 1月も終わりに近い。冬至からひと月以上経って、徐々に日が長くなっていくのが嬉しい。これからまたひと月もすれば、だんだんと春の足音が聞こえてくる。そう思っただけで、ふっと沈丁花の花の香をかいだような気がした…

霧の日に映画「ワンダフルライフ」を思い出す

私が住んでいる地方は、11月は霧が多い。霧に覆われた景色を見ているうちに、ある映画の場面が蘇ってきた。 古い病院の玄関のような入り口に、霧の向こうから、一人、また一人と現れて、受付を通って中に入っていく。ここは、死者たちが亡くなった後、上に…

「我が青春に悔なし」に見る原節子の女優としての本領と、黒澤明と小津安二郎の作風について

最近、石井妙子氏のノンフィクション「原節子の真実」を読んだ。原節子と聞いてまず浮かぶのは小津映画だろう。「東京物語」「晩春」「麦秋」「秋日和」「小早川家の秋」などに出演している。戦後の小津映画を語る時、原節子は欠かせない存在だ。小津安二郎…

半世紀前の懐かしのドラマ「天下御免」

今週のお題「もう一度見たいドラマ」 今からおよそ半世紀近く前になろうか、NHKで「天下御免」というドラマを放送していた。痛快斬新な時代劇で、出演者たちも生き生きと魅力的な役者さん揃い。ほんとうにもう一度見たい!けれどそれは叶わぬ願いと知ってい…