スイス山里COSMOSNOMADO

アルプスの山を眺め空を見上げながら心に映る風景を綴ります

亀ジョグ、または走り禅

今週のお題「マイルーティン」

朝の時間を少しばかり「走り」に当てて10数年になる。その日の都合によって、毎日とはいかないが、だいたい週に3回から4回は走っている。活動柄、けっこうメールのやり取りがあったり書くことがあったりするので、コンピューターに向かった後、気分転換に森に走りに行く。歩いて12分のところに森があるのはありがたい。

なんでもルーティンにするまでは、時間がかかる。初めは、たった12分の森まで行くのが億劫だった。それから、最初の1周がきつかった。それと、時間帯によっては犬が多いので、それもちょっとハードルになったが、長年のうちに犬の散歩の多い時間がわかってきた。それで、なるべくその時間帯を避けるように工夫。ただ、10数年前は犬を連れた人たちが大きな顔をしていたが、ここ数年は変わってきた。行き合うと、飼い主が道の端に寄って、犬を自分の横に座らせる人が増えた。最初の数ヶ月は「走らなきゃ」だったのが、次第に「走りたい」に変わっていった。よく「3日、3ヶ月、3年」というが、ほんとにそうだと思う。3ヶ月をクリアした頃、段々楽しくなってきた。

その日の体調によっては、今でも1周目がきついこともある。特に、お酒を飲んだ翌朝は。一応3周することに決めているので、なんとか頑張って2周目に入る。そうすると、身体が自然に走ることに馴染んでいく。「亀ジョグ」と自分で命名したくらいゆっくりなので、1時間弱走るがたいした距離は走っていない。でも、スポーツ選手のようにトレーニングとして走っているわけではないので、私にとってはちょうどいい距離だ。早歩きとたいして変わらないくらいかもしれない。ただ、軽く走るのは身体が少しジャンプしてトントンと踵に負荷を掛けるので、骨にいいのではと思っている。

もう一つの効用は、メンタルへの影響だ。別名「走り禅」とも呼んでいるように、走りながら軽く瞑想している感じもある。特に、少し落ち込んでいる時は、走ることが助けになることがある。また、走りながらアイデアが湧いてくることも多い。アイデアとは違うが、時に「ああ、こうすればいいのか!」と閃くこともある。

ダンスとかは好きだが、全くスポーツ系ではなかった自分が、ジョギングをルーティンにすることになろうとは、若い頃は全く考えてもいなかった。また、コツコツ続けるタイプの人間だとも思わなかった。ある意味、年齢に関係なく、思い立ったら人は変われるものなんだなと驚いている。