スイス山里COSMOSNOMADO

アルプスの山を眺め空を見上げながら心に映る風景を綴ります

この10年

はてなブログ10周年特別お題「10年で変わったこと・変わらなかったこと」 十年一昔という。子供を見れば、歳月が歴然とする。10年前に生まれた子供は、今十歳だ。十歳だった子供が二十歳。大人の10年には比べられないほどの、これは大変化である。そんな…

ああ、デジタルの世の中よ

突然はてなブログにアクセスできなくなって、しばらく更新はおろか、見ることさえできなくなってしまった。私にとって、コンピューターはブラックボックスだ。いろいろ試してはみたけれど、自分の手には負えない。こういった時の頼みの綱は息子だが、彼も忙…

眠りの不思議

今週のお題「眠れないときにすること」 人生のおよそ3分の1近くは、眠りの中で過ごしている。考えてみると不思議なことだ。言ってみれば、多くの時間を無意識の世界で過ごしているわけだ。そして、この時間は本当に大切な時間である。眠っている間に、心と…

お茶と親戚のおじさんの思い出話

今週のお題「好きなお茶」 海外にいると、日本茶が懐かしくなる。昔は、日本へ帰るたびにお茶をまとめ買いしてきた。日本食品店などでは、日本茶を売ってはいるが、そんなにレパートリーは多くないし。やがていつ頃からか、こちらのスーパーなどでも「グリー…

「爆発」という言葉の考察

今週のお題「爆発」 あらまあ、穏やかならぬ、なかなか刺激的なテーマですこと。どう発展できるか、とりあえず挑戦してみることにした。 まずは、広辞苑から「爆発」の意味を引いてみる。 1)圧力の急激な発生または解放の結果、熱・光・音などと共に破壊作…

スロージョギング

今週のお題「好きなスポーツ」 こちらは、スイス時間21日の夜。このテーマであれこれ考えて、いざコンピュータに向かったら、テーマが新しくなっている。日本では日付が変わって22日に。たぶん、夜中に切り替わったのだろう。けれども、そのつもりでいた…

終戦の日に、島倉千代子さんの「からたち日記」を思う

76年目の8月15日を迎えた。終戦の時に20歳だった人が、今年はすでに96歳。太平洋戦争が始まったのは、1940年12月8日だが、昭和は1945年まで、日中戦争も含めて戦争の時代だった。昭和一桁生まれの人たちには、子供の頃からずっと戦争が…

占星心理学についてあれこれ

今週のお題「自由研究」 古今東西、占いと名のつくものはたくさんあって、常に一定の人気がある。人は自分の運命を知りたがる。「自由研究」のテーマで思い出したのが、昔少し勉強した占星心理学のこと。それを仕事にしたわけではないので、人生の途上で出会…

思い出のバニラアイスクリーム

今週のお題「好きなアイス」 好きなアイスは、いろいろある。バニラアイスベースで、胡桃入り、マカデミアンナッツ入り、メープルシロップ入りなど。モカのアイスクリームも美味しい。スイスの街角では、Gelateriaと呼ばれるアイス屋さんが、いろいろな種類…

二つの東京オリンピック

今、東京オリンピックが開催されている。1964年に続き、2回目の東京でのオリンピックになる。だが、東京オリンピックと言っても、この二つには天と地ほどの違いがあると感じる。 1964年のオリンピックは、戦後19年、敗戦の焼け野原から復興した日…

波に揺れる小舟のように

スマートフォンには色々なアプリが入っている。スイス連邦鉄道のアプリも入れているが、個人登録はしていなかった。けれども、先日、切符を買うのに往生したので、とうとう登録することにした。 よく利用する区間の回数券は持っているが、そうでない目的地に…

海外の寿司話

今週のお題「寿司」 こちらでも、和食がブームになって久しい。チューリッヒのような大きな街には、日本食レストランがかなりある。この、「かなり」というのは、昔に比べての私の感覚。パリやロンドン、デュッセルドルフと比べてはいけない。 1980年代…

君よ知るや東の国

今週のお題「住みたい場所」 日本にいた頃は、国内を旅する機会がほとんどなかった。こちらに住み始めてから、かえって日本を旅するようになった。なかなか帰れないと思うから、今回はあの土地の親戚、今度はあの町のお友達に会いに行こうという計画を立てる…

壮大なロマンを描いた漫画

今週のお題「一気読みした漫画」 小学生の頃は、毎晩のように「お絵描き」をしていた。少女漫画に描かれた長い巻き毛や、夢みる瞳に魅了されて、女の子の金髪の巻き毛のツヤの出し方や、潤んだ瞳の描き方などを何度も何度も練習したものだ。頭の中にストーリ…

平野啓一郎「本心」を読んで

平野啓一郎氏の最新作「本心」を読み終わった。氏の作品を読むのは、これが6冊目になる。最初に手に取ったのは、「マチネの終わりに」だった。そして、平野氏が23歳の時に芥川賞を取ったことを知って、その受賞作「日蝕」を読んでみた。「一月物語」も同…

心にぴったり詩歌のリズム

今週のお題「575」 日本には、俳句や短歌がある。俳句は5・7・5、短歌は5・7・5・7・7だ。昔の日本人は、この形式で情景や心情を表した。伝統は今も脈々と受け継がれて、俳句や短歌を作る人の数は多い。いろいろな同人誌も数多あるようだ。 亡き父は…

祖母と過ごした夏の思い出

今週のお題「そうめん」 そうめんというと、なぜか祖母の顔が浮かぶ。ある夏休みの昼ご飯の風景が蘇る。祖母はよくそうめんを茹でてくれた。時に酢ぞうめんにして食べたり、薬味を入れた出し汁につけて食べたり。畳の部屋に、祖母と幼い私が二人っきりで、丸…

歌くらべのプレイリスト

今週のお題「わたしのプレイリスト」 さて、もしリストを作るとしたら、ひとつは「歌くらべのプレイリスト」にしてみたい。同じ歌でも別の歌手が歌っていると、全く違う絵が見えてくることがある。それから、同年代で同じ時代の空気を吸いながらも、全く違う…

雨の日の過ごし方

今週のお題「雨の日の過ごし方」 今年の5月はやけに雨が降る。気温も上がらず肌寒い日が続いている。去年の5月とは大違いだ。去年はお天気が良かったような気がする。コロナの第一波の時だったから、それは助かった。お天気が悪いと気持ちも沈みがちになる…

英雄について考えてみる

今年はナポレオン・ボナパルトが没してから200年だという。1821年の5月5日に亡くなったということから、その頃テレビなどで盛んに取り上げられていた。ナポレオンと言えば、誰しも英雄という言葉を思い浮かべるだろう。彼は、フランス革命後のヨー…

2021私のオンライン元年

今週のお題「おうち時間2021」 2020年春。ソーシャルディスタンス、コロナ感染の世界的な広がりは人々の物理的な接触を絶った。ヨーロッパの国々はロックダウン、日用品以外の店もレストランも文化スポーツ施設も閉まり、人々は家にこもった。ここスイス…

言葉の魔術

母語以外の言葉を使って生活していると、自然に言葉というものについて思いを巡らすようになる。言葉というものは面白いものだ。どこからか思いが湧く。その思いが頭の中に留まっている限りは、まだ言葉にはなっていない。もちろん、自分自身と対話すること…

HSPの記事をきっかけに考えたことあれこれ

人の気質のひとつにHSPという定義があるのを知った。きっかけはこうだ。アマゾンは、よくお勧めの本の情報を送ってくる。その一冊がHSPのパートナーを持った人の本だった。それで、HSPとは何だろうと調べてみたのだ。まず、この言葉はHighly Sensitive Perso…

スイスのドイツ語事情

スイスには、四つの言語圏がある。ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語が公用語になっている。割合的にはドイツ語がおよそ60パーセント、フランス語が30パーセント、イタリア語が10パーセント、そしてロマンシュ語が1パーセントほど。都…

コロナ規制下、ロカルノ訪問で思ったことあれこれ

コロナ禍が広がって以来、初めての遠出をした。ロカルノで親戚の告別式があったのだ。スイスでは、隣国フランスなどとは違って、移動の制限はない。 コロナで、告別式も列席者の数は制限されている。こちらに来てから、お葬式には幾度も列席したが、そういう…

古いギターが新しく生活の逸品となったという個人的な話

#新生活が捗る逸品 4月は、日本では新しい始まりの季節だ。官庁や大半の会社では新年度のスタート、学校では新学年のスタートだ。就職や入学で独立して一人暮らしを始める人たちもいることだろう。何を揃えようかといろいろ考えを巡らしたり、買い物に行っ…

猫のクロの話 その3

夕方になると、決まって近所の黒猫が我が家の台所の前を横切っていく。今日もそうだった。いつものように急ぐ風情もない。毎日、自分のテリトリーを点検して回っているのだろう。その姿を見て、そうだ、クロの第3話をまだ掲載していなかった、と気がついた…

過去を知ることで未来に活かす知恵

いつだったか日瑞両方の血を引く若者と話した時の彼の言葉が頭に残っている。たぶん、最初のコロナ禍のロックダウンの頃だったかもしれない。シニアの外出自粛のことが糸口で、「老人」についての話題になったような気がする。 「自分は、老人は大事だと思う…

カズオ・イシグロ氏のインタビュー記事を読んで考えたこと

購読している地元の新聞をパラパラと繰っていたら、ある見出しに目を引かれた。アジア系中年男性の写真とともに、大きく「我々は根源的なところで孤独である」と書かれていた。ちょうど、ブログに「孤独について考えてみる」と題して文章に書いたところだっ…

「我が青春に悔なし」に見る原節子の女優としての本領と、黒澤明と小津安二郎の作風について

最近、石井妙子氏のノンフィクション「原節子の真実」を読んだ。原節子と聞いてまず浮かぶのは小津映画だろう。「東京物語」「晩春」「麦秋」「秋日和」「小早川家の秋」などに出演している。戦後の小津映画を語る時、原節子は欠かせない存在だ。小津安二郎…